ファシリテーション初級編

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    スタッフロールでは、社会復帰支援に関する各プログラムにファシリテーションを取り入れています。ファシリテーションと聞くと会社の会議シーンなどをイメージされる方も多いと思いますが、スタッフロールにおけるファリテーションは、支援員や講師が利用者様の支援を行ううえで必須のスキルです。

    本記事はファシリテーション初級編として、なぜうつ病等の気分障害を患った方の社会復帰支援の現場でファシリテーションが必要なのか、その目的や役割について解説していきます。

    —ティーチングではなく、あくまでファシリテーション—

    まず最初に話しておきたいことがあります。ファシリテーションはティーチングと比較されることがよくありますが、スタッフロールではティーチングは行っていません。ティーチングはうつ病等の気分障害を抱えた方々にとって、社会復帰の支援を行う上での相性が良くないからです。

     

    ティ―チングの場合は教える側が答えを持っていますが、社会復帰をサポートする現場において「何がメンタルの低下につながるのか」などの自己理解については、教える側ではなく利用者様のほうに答えがあります。

    風邪であれば、咳が出たり熱が上がったりするので、他人からも症状は判断しやすいですが、精神的な不調は心の状態のことなので、心の中を覗けない支援員には原因がわかりません。支援員がいくら悩んで「恐らくこういう原因があるのだろう」と答えらしい解を見つけても、それが間違っていればどのようなサポートも無駄になってしまう可能性があります。それどころか逆効果になってしまうケースも考えられます。そのため、答えは本人に気づいてもらうしかありません。

     

    そこで活きるのが、答えを引き出したり、モヤモヤの原因を突き止めるためのヒントを与えたりするのがファシリテーションということです。

    —悩みの共有が安心感につながる—

    わたしたちスタッフロールではグループワークを取り入れているのですが、ファシリテーションを通して「利用者様の言葉で」悩みや辛さを口に出すことが、大きな意味を持っています。それは「自分だけではなかったんだ」と、話を聞いているほかの人たちの安心感につながるというメリットです。

    利用者様の中には「人と違った感覚かもしれないから…」「自分だけかもしれないから…」と、誰にも相談できずにいる人が多くいます。そのため、ほかの人たちの悩みや考えを聞くことで、「ここは言ってもいい場所なんだ」と安心できるのです。

    スタッフロールに通う利用者様は社会や職場に馴染めなかったり、自分が所属するコミュニティーの輪を乱さないようにするために我慢していたりする人が多いので、「わたしと一緒の人がいる」と思えることは、とても大切なのです。

    —成功も失敗もプログラムの前に決まっている—

    ファシリテーションをスムーズかつ上手に行うためには入念な準備や仕組みづくりが必要です。スタッフロールが実際に行っている主要な取組の一部を紹介します。

     

    ・プログラム(テーマ)

    ファシリテーションを行う上であらゆるプログラムを用意。現在35本ほどのプログラム本数があります。

    例えば疾病理解などでは自身がなぜ不調になっているのか知ることを狙いとしたワークから、それを他の人に伝えるワークなど1つのテーマ毎に複数回のワークに分かれます。

    また、避難訓練などの単発プログラムや農業プログラム、オンラインプログラムまでさまざまなものを行なっています。

     

    ・グループワーク

    先述の通り、ほかの利用者様たちと悩みや辛さを共有する場でもあるため、グループワークを基本としています。参加者が多いほうが自分の悩みや考えと一致する可能性は高まるため、4~5人のグループに分かれて実施。

    コミュニケーションが活性化するように、通所して日の浅い方と通所月数の経つ方をミックスしてグルーピングし、全体で最大20人ほどの人数でワークを行っています。

     

    ・ワールドカフェ

    自己開示しやすい環境をつくることにも注力しています。そもそも利用者様は、「こんなふうに思うのはわたしだけではないか」と思っているのですから、自分の考えや意見を話すのには勇気が必要です。そのため、会議やワークをお茶を飲んでくつろいでいるような雰囲気で行う「ワールドカフェ」という手法を取り入れています。

     

    ・フレームづくり

    プログラムでは利用者様が自主性を発揮することが重要。そのため、利用者様が出した意見から、さらに深く考えることができる仕組みを再現性の高いフレームにしておく必要があります。

     

    ・目的とゴール設定

    プログラムを進めていくと、横道に逸れて着地点が定まらないような事態が起こるケースは往々にしてあります。そのため、まずプログラムの目的を口頭で伝え、どういった状態がゴールなのかも明確にします。

     

    ・事前のシミュレーション

    前項でも説明しましたが、プログラムでは予期せぬことが起こります。目的が達成できないままプログラムが終了するといった事態にならないためにも、シミュレーションは不可欠。

    スムーズな進行のために利用者様の座席の位置決めやタイムスケジュール、アイスブレイクの内容まで企画書をつくり綿密に設計しておくなど、事前準備がとても重要になります。

    ここまでは、前段として目的や準備について解説をしてきましたが、次回はより実践的なマインドセットやスキルセットについて話していきます。

    どちらも高い技能が求められますが、繊細で枠にはめられないメンタルヘルス課題を解決に導くためには、妥協してはいけない部分だと考えています。

    ファシリテーションについてもっと知りたい方はこちらもお読みいただけると、もっと深く知ることができます。

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