ファシリテーション。マインド編

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    利用者様が役者で、支援員は黒子

    今回は前回に引き続きスタッフロールで行っているファシリテーションがテーマです。お話する内容は、支援員に必要となるマインドについて。

    いずれも思考的かつ技能的な要素となるため、スタッフロールの支援員や外部講師陣がどのようなことを心掛けて利用者様と接しているかが分かる内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

    理想状態は未来志向と主体性の発揮

    冒頭で支援員のマインドセットについてお話するとお伝えしましたが、なぜそのマインドが必要になるのかの根拠を知ってもらうために、まずは利用者様にどのような心構えや考え方を身に付けてもらいたいかを解説しなければなりません。

    その理想の状態は、「未来志向」と「主体性」を持ってもらうことです。では、簡潔に解説させていただきます。

     

    ・未来志向

    プログラムを通して「参加してよかった。生活の中で実践していこう」と利用者様に思ってもらうことが、目指すべき状態です。前回の記事でもお話させてもらいましたが、利用者様には「こういう考え方をするのは自分だけかもしれない」といったネガティブな感覚を持っている方が多くいます。

    そのような方たちに、自己肯定感を持って生活に臨んでもらうために必要なのが未来志向なのです。

     

    ・主体性

    スタッフロールでは各支援員に「自分軸を持ってもらおう」という話をよくします。利用者様には自分に自信を持てず他人軸で動いている方がよくいます。他人を軸に行動すると、人の顔色を伺って周りの要求に合わせることとなり、無理をします。そして心は疲弊していきます。

    そうならないため、そして自分に価値があるように思ってもらうため、折に触れ各支援員に自分軸の大切さを解いています。

    —自分の意見はしまっておく—

    利用者様に未来志向と主体性のマインドを持ってもらうために、支援員はどのようなマインドでファシリテーションを行うべきでしょうか。身に付けておくべきマインドは細かくすれば無数にあるのですが、スタッフロールが特に重要と考えるのが「黒子を演じる」と「忍耐」の2つです。

     

    ・黒子を演じる

    舞台を例に挙げると、わたしたちファシリテーターは、演出家であり、照明であり、美術道具などの裏方で、役者は利用者様です。利用者様には自分の価値観があり、伝えたいコトがあります。その表現できずにいるコトを上手に引き出してあげるのが、わたしたち黒子の役割です。

    ここでやってはいけないのは、答えを教えることです。「魚を与えるのではなく、釣り方を教える」と形容するのですが、うつ病などの気分障害のある方が社会復帰や復職をするには、当プログラムで得た考えや方法を自分が属するコミュニティーで再現しなければなりません。「こういうときはこうしなさい」と紋切形の答えでは、その状況に当てはまらないケースに遭遇してしまうと上手くいきません。

    そのため、わたしたちが心がけるべきは、答えではなく、方法論を覚えてもらうことです。

    また、利用者様のアイデアや意見をなるべく取り上げることも重要となります。勇気を出して意見をしたのに、その芽を紡いでは主体性は育まれません。わたしたちはあくまで黒子です。利用者様の意志を尊重することが役目なのです。

     

    ・忍耐

    少しネガティブな印象を与えてしまうかもしれないので、「見守る」と言い換えてあげてもいいかもしれません。議論が停滞しているときや、考えが出てこないときには、せかさずやさしく見守ることが大切です。

    このときに「こうなんじゃない?」と、介入してはいけません。じっと見守り、どうしても前に進まないときは、寓話の「北風と太陽」の太陽のアプローチの仕方のように、意見を促すようにします。

    スタッフロールではファシリテーターの心構えとして、さらに細かく体系化していますが、全部は紹介しきれないため、掻い摘んで解説させてもらいました。他にも「安全性への配慮」など、常に心がけるべきとても重要な項目がありますが、それについては本記事ではなく、別記事で詳しくご説明します。

    前回の記事でもお伝えしましたが、ファシリテーションはティーチングではありません。特に気分障害を患っている方たちに、自分の考えや意見を押し付けるようなことは絶対にNGです。言うは易く行うは難しで、思いどおりにいかないときは自分の意見を主張してしまいがちですが、ぐっとこらえていただきます。プログラムないしファシリテーションは、利用者様のために行うべきものであって、自分の仕事を進めやすいように行うべきものではありません。それが当社の考えです。

    次回は個別面談(初級編)について紹介していきます。ぜひ、次の記事も楽しみにしていてください。

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