ファシリテーションに求められるスキル

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    伝える、進行する、安全性を高めるための必須級スキル

    ファシリテーション-マインド編の記事に続いて今回はスキルについて話をしていきます。

     

    過去のファシリテーションに関する記事はこちら。

    ・社会復帰支援で行うファシリテーションのやり方とは(初級編)

    ・社会復帰支援を行うファシリテーターとは(マインド編)

     

    考え方や思考方法などもスキルの1つとして分類できるため、何を持ってスキルとするかは難しいところがありますが、本記事では社会復帰支援の現場で行っている支援の仕方をややミクロな視点で紹介しようと思います。

    自分事と思ってもらうための話し方

    利用者様に自己理解を深めてもらうために、伝えたいことを”どのような言葉で伝えるか”。これはファシリテーションのキモでもあります。ただし、”伝える”とは非常に困難な作業です。普段のコミュニケーションのなかで、相手の表情を見て「理解してもらえていないな」とか、返答を聞いて「かみ合っていないな」と思った経験はありませんか? そんなときは「話にまとまりがなかったかな?」と反省することがありますが、だからといって理路整然と話せば伝わるかと言えば、そうでもありませんよね。

    そこで用いるのが、抽象と具体の使い分けです。この2つを意識的に使い分けることで、話の中身が利用者様にとって自分事に変わります。

     

    抽象化と具体化の行き来例

    たとえば、何かを掴むヒントになればという思いから「抱えきれないほどの仕事量で鬱病を患ったわたしの知り合いは、日記を書いて気持ちを落ちつかせているって言ってましたよ」と、支援員が実際にあった具体的なエピソードをしたとします。しかしこれでは、利用者様からすれば具体的過ぎて「その人とわたしでは症状も違うから、わたしが日記を書いて何の意味があるの?」となってしまう可能性があります。

    このように人にはそれぞれ思考の癖があり、独自の具体化視点で考えることが多いため、その人固有の経験や記憶に基づいたイメージで捉えがちなので、話が噛み合わないといったことが発生するのです。

    そんなときはまず抽象的な話をして、間口を広げることによって「わたしに関係ある話だ」と捉えてもらえるようにします。そして、理解が進んできたと感じたら、具体的な方法などについて話を展開。ときには抽象と具体を行き来して、より理解度を深めていくといったこともします。

    ちなみに当施設は具体例の宝庫なため、「では具体的に何をする?」となったときに、多くのアドバイスが出来ると思います。

    ファリシテーターとしてアンテナを張ること

    わたしたちが行うプログラムは、ただ知識を身に付けるための講義でもセミナーでもありません。ワークをしながら気づいたり学ぶスタイルを取っており、実際に利用者様自身が経験しながら自己理解を深め、ゴールを目指してもらいます。その過程には、利用者様にとって少なからずストレスとなる内容もあります。

     

    ですからわたしたち支援員は、利用者様の負担を少しでも減らせるように場の雰囲気づくりをします。そこに必要となるのがユーモアです。また、誰も一言も言葉を発さないようなときもユーモアで発言を促したり、進行させたりもします。ユーモアはファシリテーターにとって、非常に有用なスキルです。

    とはいえ無理に笑わそう、和ませようとその場で難しく考えるのではなく、常日頃から「これはファシリのアイスブレイクに使えそうだな。」とアンテナを張っておくことが必須。アンテナを張っていることで「あっ!それ面白いですね、今度のワークで使わせてもらいますね。」といった会話を通して、利用者様発信のコミュニケーションから生まれた話題を拾ってあげることで、自然と場を和ませるような工夫をするのも大切なことです。

    リスクの排除が目的

    先述しましたが、プログラム内容によっては利用者様に負荷がかかるものもあります。なかには途中で泣き出してしまったり、落ち込んだり気分が悪くなったりする方もいます。このような場面の発生を抑止することはもちろん、発生した場合の対処などを予め想定して準備をすることが必要不可欠です。

    たとえば利用者様同士の相性なども考え、席の配置を考慮しておくこともそうですし、ワークなどに使う写真やイラストなどが不適当でないかをしっかり確認しておくなど、可能な限りリスクを排除してプログラムに臨みます。

    「営業は準備が9割」といった言葉がありますが、ファシリテーションも同様です。もちろん知識や経験なども必要なので事前準備に限った話ではありませんが、事前準備をきちんと行うことにより、スムーズで上手なファシリテーションが行えることも確かです。

    ほかにも、理解スピードを早めるために図やグラフなどのビジュアルを使って説明するなど、細かく見ていけば必要なスキルは無数にありますが、今回はこのくらいにします。

    ここで紹介したスキルは、一朝一夕で身に付くようなものはひとつもありません。比較的簡単そうに思える事前準備にせよ経験がもととなるため、いきなりは難しいでしょう。また、進行をすることだけに気を取られると利用者様の変化に気づけず、「次回のプログラムにフィードバックできない」といったことも起こります。

    このように社会復帰支援を行うファシリテーターには高度なスキルが必要とされます。しかし、わたしたちにとっての目的は利用者様の社会復帰ですから、プログラムが利用者様にとって有益なものでなければなりません。そのためにスキルを磨くことは当然の努めなのです。

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